はじめに
2018年7月、1枚のアルバムが一般発売されました。(会場では4月より先行販売。)
舞台本編を見ていない方や、「元モー娘。」としか道重さゆみを知らない方にこそ届いてほしい。しかしサウンドトラックという性格上、リスナーが限定されてしまう...。
2018年を生きていて、このアルバムを聴かないのはあまりにもったいない。
そうデカデカとゴシック体で書かなければいけないほどの名盤、というより、ただこの作品が楽しくて大好きなので、私情だらけの全曲レビューを投稿してみることにしました。
全曲レビューいってみようやってみよう
1.SAYUMINGLANDOLLオープニングテーマ~キラキラは1日にして成らず!~
「キラキラは1日じゃ成んねえ!」という超強気な歌詞に、これほど説得力を持たせられる人物が果たしてどの位いるだろう。さぁ道重、これならどう来る!?と楽しそうに笑うつんくさんの表情が見えるよう。その期待に応える、弛みなき影練。今日という一日限りのショーが幕を開ける。職業「かわいい」ここにあり。
2.朝のfashion show
ピチカート・ファイヴの「パーフェクト・ワールド」に次ぐ、目覚ましソングの名曲がここに爆誕。めちゃくちゃネガティブなわたしでも、今日は何もかもうまくいきそうな気がしてくる。
3.自分に向かって、ウィンクひとつ
「よし、今日も可愛いぞ!」という強力な魔法が生み出す、目がくらむほどの自己肯定。誰よりも私が私を知ってるから、誰よりも信じてあげなくちゃ。
4.ありえない遊園地
他者の介入により、完璧だった世界が少しずつありえなくなっていく。白と赤のコントラスト、疾走する景色と忌避感。こっちの部屋もまだあったのか、というお化け屋敷のような怖さを聴くたびに覚える。「行列並んでお喋りはきっと 私ばかりになる」という歌詞の真意がずっと掴めずにいる。いつか意味が降りてくるまで反芻したい。
5.ダーリン、寂しいな
ここに来て直球ど真ん中。音ゲーの神業プレイを視聴しているように、スパーン、スパーンと的確に当てられるアイドル性が心地よい。「え〜んえ〜んえ〜んえ〜ん」というあまりに幼い歌詞は、再生後の"大人かわいい"道重さゆみ像に一石を投じるかのよう。個人的な願望を言うと、いないいないばあっ!でこの曲を歌ってみてほしい。キッズに囲まれ満面の笑みで歌うところを。(赤ちゃんなのかなぁ...。)お好みのコールを心の中で叫びながら聴くのがおススメ。
6.キャンディーボックス
赤ちゃんからレディへの見事なイリュージョン。ビッグバンドに縁どられた華麗なステージで気ままにステップを踏む、世界で一番可愛いさゆみをご賞味あれ。
7.EIGAをみてよ
中毒と言ってしまってもいいくらい鬼リピしている。この曲がオープニングの劇場アニメが見たい。いや、この一曲だけで映画一本見終えたような聴きごたえがある。台詞パートは「シャボン玉」へのオマージュか。劇場と激情。一人でも多く、この世界に触ってほしい。
8.ガールズウォーク
インスタ映えを絵にしたような曲。強めに鼻にかかった声が甘さを増し増し。サビの「ガールズウォーク」と韻を踏むために、その前の「キラキラする街で 」と「スキップするように」の「する」が信じられないほど駆け足で発音されているところが愛おしい。10代のさゅぇりってこんな感じだったのかなぁ。(もしくは今も。)
9.サンセットドライブ
楽しさと寂しさの入り混じった気持ちに、マジックアワーの空色が重なる。「ありえない遊園地」のスリリングなドライブとの対比がおもしろい。陰と陽。ロールパンナちゃんとメロンパンナちゃんみたいな。
10.美味しい罠に気をつけて
優雅な3拍子をゆったりと歌い上げるほろ酔いさゆみん。こんな人に「どうにでもして」なんて言われてしまったら...困惑の極み。心配で仕方がない。気をつけて。
11.エンドレスナイト
(作詞:樹林伸、AnJu / 作・編曲:大久保薫)
日はすっかり落ち、透明な夜空へ。アルバムを通して甘味、酸味、塩味、苦味、うま味という五味が感じられる中で、これは甘くて苦い食後酒。
12.I'm only...so lonely lovely girl
(作詞:つんく、樹林伸 / 作曲:つんく / 編曲:大久保薫)
星は闇があってこそ光をたたえることができる。ゆえに孤独で、ゆえに美しい。誰のためでもなく、ただ静かにキラキラと。つんくさんの仮歌がそのまま聞こえてくるようで、彼の歌唱法を完璧に習得した道重さゆみだからこそ完成できる曲。
13.私の時代!(SAYUMINGLANDOLL~宿命~ Ver.)
(作詞・作曲:つんく / 編曲:平田祥一郎)
底抜けに明るいこの曲も、この流れで聴くと胸が締め付けられてしまう。陽はまた昇る、終わりのない夜は無いんだと。こんなにかわいく「カモーン!」と言われたら、ついていくしか選択肢は無いだろう。
終わりに
まず、ここまでたどり着いてくださったあなた!相当な良い方だと思います。何か良いことがありますように...!
正直わたしには、道重さゆみという人の歌の力を、ハロプロ楽曲の旨味を、文字に起こせるだけの技量がありません。しかし、こんなに言葉があふれ出るほどの何かがあるんだということだけでも、お伝えできたとしたら幸いです。
お時間を頂戴し、ありがとうございました。