不定期連載 さゆみんとわたし 第18回 「再生」

美容室から出てすぐさまスマホを見ると、道重さんのブログの更新を告げる新着メールが届いていました。

「いちから」という4文字から放たれる、まっさらな白い光。そう、ピンク色じゃなくて。

来年の春ごろ。新しい感覚のパフォーマンスって何なんだろう。あと半年で、わたしは何をしよう、良い状態で会いにいけるようにしたい。

そう思うと自転車のペダルを漕ぐ足に力がみなぎり、雲ひとつなく晴れ渡った空はどこまでも澄んで、いつもの町の景色も輝いて見えました。

クリスマス、お正月、そして春。

こんなにも明日へ、未来へ、希望を持てるのはいつ以来だろう。

こみ上げる嬉しさがゆっくりと自分のすみずみまで沁み渡っていくのを感じました。

 

家に着いてすぐ、何かに駆り立てられるかのように部屋の片付けをはじめました。

見慣れた本を改めて手に取ってみると、特に読み返しもしないのに何でずっと大事に置いてたんかな、と思うものがほとんどでした。確かにどれも思い入れがあったり、深く心を動かされたものではあるけど、それはもうそこで役目を果たしているから手放していいんだ、ということに気がつきました。

どんどんと本棚は空き、その中で残ったものは、自分にとってほんとうに必要なものが何かということを教えてくれていました。

 

ついに迎えることができた「いつか」は、想像していたよりずっと穏やかなものでした。

常盤駅から見た、きらきらと光る海のように。 

 

光を取り戻した世界が、静かに再生しはじめる。

 

さゆみん、おかえり。