ラジオ観覧に行った話

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整理番号が呼ばれ観覧エリアに入り、立って待っていると「さゆー」という声が次々聞こえ、声の方へ目をやるとテクテクと道重さんが歩いていた。さっき私が歩いてきたところを道重さんが歩いてる。普通に。あれ、小さい?こんな大きさやった?そっか、いつもステージを見上げていたからか。なにこのかわいい生き物...実在してるし...いつもの感覚。

グレーのベレー帽、きちんと揃った前髪、深い赤の口紅、袖口がふわっとした黒のブラウス、グレーのチェックの膝丈のスカート、黒いストッキング、4〜5cmぐらいの高さのある黒のブーツ。ってことは本当はもう少し小さいのか。(わたしが高い。)

 

ペットボトルの蓋を開け、中のストローを取り出し水を飲む。ストローを戻し蓋を閉める。

自分の曲がかかる中、真剣な表情でスラスラと台本にペンを走らせ、時おり何かを思い出したようにガラス越しのファンを無表情に見渡す。

机に置かれたリップの金色の蓋を外し、下唇に軽く塗りなおす。(一度だけだった。)

暑いようで、手でパタパタと顔を扇ぎ、ブラウスをつまんで風を送り、みんなにも寒い?暑い?とジェスチャーで尋ねる。笑顔で手を振る。

Lovelysの二人と談笑しつつ、奥のスタッフさんの指示に視線を向け頷く。

一連の動作どこをとっても、高級な猫のような気高さ。目の前で代わる代わる生み出されるかわいさと、おもしろさと、美しさと。この光景をどうにか鮮明に記憶できますように...と全神経を集中させていると、自分の投稿が読まれた。耳に心臓の音が聞こえ、体温が上がった。(それに対する答えが爆発的にかわいくて、もしかわいさに爆風があるとしたら、地球の裏側まで吹き飛ばされてしまっていただろう。)一体これは何の思し召しなのか。

収録が終わり、ブースの扉が開いて両手を振りながら道重さんが出てきた。その後に続いてそぞろに歩きはじめる人々の後ろ姿は、聖書のひと場面を見ているようだった。関係者の駐車場へと歩いていく道重さんを、誰に言われるでもなく一定の距離をきちんと取りながら名残惜しそうに見送る人たち。夜の風、街の明かり。

 

困った。一方的に与えるだけ与えて去っていってしまった。私はどうしたらいいんだろう。

答えがわからないまま、ひとまず今日見た道重さんのことを書きのこしておこうと思った。

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11/12追記

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リップは見た目こういう感じのでした。