不定期連載 さゆみんとわたし 第24回「OK!生きまくっちゃえ」

今日がわたしの人生の最終回なのかな。

新曲「OK!生きまくっちゃえ」に合わせ音頭のように手を叩き舞い踊る人たちの、多幸感だけで埋めつくされた空間の一部になりながら満たされた気持ちで思った。

 

7月13日(土) Zepp DiverCity

f:id:iixviiiv:20190717043501j:image

2019年の7月13日が土曜日であることを発見してから、その日が訪れるのをずっと心待ちにしていた。道重さんが活動を休止している間も。いつ会えるとも知れない人の、あるとも知れないバースデーイベントが生きる希望となってくれていた。そんないくつもの「もしも」の先に、今日という日がついに叶えられた。祝わせてくれてありがとう。

セットリストは本人選曲による30曲で構成された、娘。時代からソロ活動までの集大成。

今まで聴く機会に恵まれなかった「It's You」には、これが本物か...!と圧倒された。道重さんと彼女を応援する人たちにとって、この初めてのソロ曲がいかに祝福すべき出来事だったかに思いを馳せることができた。

「KILAi STAR LIGHT」の「もう会えないのならせめて 星になれ」という歌詞に、梁川奈々美ちゃんを重ね勝手に涙ぐんでいると、衣装替えでステージをはけた道重さんと入れ替わるようにデビュー当時からの映像がスクリーンに映し出され、ライサバの亀井さんを目にすると感情の歯止めがかからなくなりボロボロと泣いてしまった。どの一日が欠けても今日という日には至れていなくて、それはわたし自身にも言えることで、お互いのこれまでに感謝が溢れた。

信じがたいことに「レインボーピンク」まで聴けてしまった。音源や映像で慣れ親しんできたものと1mmの誤差もなく再現される様に、プロ意識の高さを改めて感じた。やりきること。楽曲への敬意。

「EIGAをみてよ」の台詞パートが「私をこのまま一人ぼっちにしておくわけ?」に差し替えられ、そのまま「Help me!!」に流れ込んだことには天才か!!と心の中で叫び、ミックスや衣装、そして道重さん自身のいくつもの準備があってこのステージが実現していることを思った。30才のお誕生日当日という特別なお祭り。終わって欲しくないな、という余念が入り込む隙もないまま、最後までただただ熱狂した。

 

7月15日(月) 山野ホール

f:id:iixviiiv:20190717043639j:image

山野ホールは実在した、と、新宿からたどり着いてまず思った。自分にとって桃源郷のような場所だったので、ここに連れてきてもらえただけですごく嬉しかった。ささやかで親しみ深い空間だということが、会場内に足を踏み入れてすぐに分かった。

あーちゃんこと北林明日香さんに久し振りに会えたこともうれしかった。自分も楽しいし、ファンのみんなも喜んでくれるだろう、という人選だったのではないかと思う。そこのバランス感覚が道重さんは非常に優れている。今までコンサート以外のイベントに参加する機会が少なかったので、iPodを聴く、モニターを見つめる、口をすぼめ人の話をまっすぐに聞く、ひらひらと手を振る(※めっちゃかわいい)といった素のさゆみんを堪能できたことがとても贅沢だった。

「さ」「ゆ」「み」という3つのプレゼントBOXが用意されたゲームコーナー。1公演目に「ひらがなの中で一番好き」という理由で「ゆ」のBOXがまず選ばれた。2公演目は不正解が続き1度しかチャンスが無い中、客席全員の予想通り「ゆ」のBOXが開けられると、当たりの焼肉1万円分が入っていた。「やったー!」とピョンピョン喜ぶ道重さんを見ながら、優しい世界でよかった、と胸を撫で下ろした。

普通のペンか電気の流れるビリビリペンかというゲームで、怖すぎてなかなかペンを押せず「こういうのウザいって分かってる」と時間を気にしながら激しく取り乱す姿に、今が永遠に続けばいいのになとバチ当たりなことを思ったりした。

あーちゃんが思うさゆみんの好きな所というクイズで、自分の好きな所を何のためらいもなく挙げていくのもすてきだった。LINEの返信が早い、というのをいちばんに挙げていて、日頃心がけていることなんだと思った。

あーちゃんが目撃したさゆみんの決定的瞬間は?という問題では「寝顔がブス」と即答し、(ちなみにハズレ。) その後も何かの折につけ寝顔がブス、と述べていたのが興味深かった。24時間かわいく居たいけど、寝ている間だけは意識が届かないのが悔しいのかもしれない。結局、あーちゃんが目撃したさゆみんの決定的瞬間は「3日前のデザートを食べようとした」ということで、道重さんは食べ物をほんとうに粗末にしない、という話を聞いてさらに大好きになった。かわいくて面白くてLINEの返信が早くて食べ物を粗末にしないアイドル。

乾麺のくだりも最高だった。生パスタより乾麺の方が好きという意味で好きな食べ物を「乾麺」と答えると、自分以外のスタッフさん全員(4人?)に乾麺=乾いたパリパリの状態のままで食べると思われたということを、愚痴になるのかな?とほとんど半ギレでまくし立てていた。そこはもう「パスタ」で良かったんじゃないかな、と少し思ったけど、そうすると生パスタも含まれてしまうから、やはり乾麺と答えるしかないのだろうか。

最近気になるハロプロメンバーは?という質問で、るーちゃんの名が挙がったのは意外だった。わたしにないもの(歌唱力とか。)を持っていることと、ビバラポップの時に楽屋が一緒で、黙々と振りを練習する様子がすごく好きで盗撮したとのこと。ハロドラでその話をしたけど全部カットされてて、盗撮っていけないことなのかなぁ?と真剣に困った表情を浮かべていたのが愛苦しすぎた。(道重さんの言う「盗撮」は「スナップショット」の部類だと常々思っている。さゆみんが盗撮ならアンリ・カルティエ=ブレッソンもそうなってしまう。) るーちゃんはもちろんかわいい。努力家で、心優しい子だということは私もよく知っている。でも、もしやなみんが卒業していなかったら。もしビバラポップで共演していたら。もし楽屋が一緒だったら。そんな決して叶うことのない「もしも」を、どうしても思ってしまった。

道重さんのいちばんかわいい所を聞かれた際に、客席の方が「存在していること」「生きていること」と答えられていて、どちらも真理だと思った。いついかなる時も「道重さゆみ」であり続けてきたことが、何より尊くかけがえの無いことで。わたしは何をもってわたしと言えるのだろう。自分を自分たらしめているものは何なのか。そういった問いが、公演の間ぐるぐると頭の中を駆け巡っていた。

自分の幸せを、わたしもこれからは自ら定義し、責任を持っていかなくては。他の誰でもなく、自分自身がOKを出せるように、わたし自身がわたしを許せるように。

長旅から帰宅し、お風呂あがりに体重計に乗ると2kg増えていた。試しに、道重さんの教えてくれた抜け駆け方式(足の裏の側面に体重を乗せ、内側を浮かせると0.4kg軽くなる。)で測ってみると先ほどと全く同じ数字が表示された。かわいい子にしか使えない魔法か、と思いつつ、楽しかったからこれでOK!と今日のところは私を許すことにした。