キョンキョン

新神戸オリエンタル劇場へ、舞台『日の本一の大悪党』を観に行ってきました。

 

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「 なんてったってアイドル」のリリース年に生まれたわたしがキョンキョンに関心を持ちはじめたのは、讀賣新聞の書評がきっかけでした。

自分の経験を交えた、書評というより随筆に近い文章は、あの伝説のアイドル・小泉今日子が自分に向かって秘密を打ち明けてくれているような不思議な近さがあり、毎週日曜日の朝刊を開いてはキョンキョンの名前があるか無いかで一喜一憂していました。

 

そこから音楽活動もたどっていくと、まるで日本の音楽史を見ているような、そうそうたる顔ぶれ。

なかでも細野晴臣さんの作曲された「連れてってファンタァジェン」を初めて聴いたときは、宝物を見つけた感動を覚えました。

リアルタイムで好きだったのは小林武史さん作曲の「My Sweet Home」で、その歌詞をキョンキョン自身が書いたこと、「大好きな背中」は亡くなったお父さんのことなんだということを知ってから改めて聴いて号泣し、哀しみをも包みこむ強い優しさはどこから生まれるのか、キョンキョンのことをもっと知りたいと思うようになりました。

音楽については、まだまだ知らないことが多くて語れるほどになっていませんが、アルバムの歌詞カードを開くたび「え、この人も!?」という驚きが毎回あり、ジャンルや世代関係なく一緒に仕事をしたいと思わせる何かがキョンキョンにはあるんだろうなぁと思います。

 

本などで変遷を知っていくうち、小泉今日子はパンクだと思うようになりました。

既成概念、自分自身、何を壊そうとしているのかは分からないけど。めちゃくちゃかっこいい。

 

80s 小泉今日子 紅白.flv - YouTubewww.youtube.com

 

ワントゥスリーフォッ!

 

あまちゃんの紅白もめちゃくちゃカッコよかったなぁ。ほんとは出たくなかったけど宮本信子さんが出るなら自分が出ない訳にいかないって逸話もヤンキーっぽくて。

 

いつになったら、お芝居の話になるのか。

そう、それでそのキョンキョンが神戸に来る、しかもそれは初の自身によるプロデュース作ということでこれは行くしかない!と張り切ってチケットを申し込みました。軽い気持ちで日曜の千秋楽に。第一希望の一階席は外れたけど、ご用意できました。姉たちに即報告。(ちなみに、わたしもキョンキョンも三女。やっぱなぁ〜と謎の優越感。これもあとで知ったけど、我が家にCDラジカセが来たとき初めて買ってもらったのが忘れもしない8cmの『あなたに会えてよかった』だったと姉が教えてくれました。)

 

それで、お芝居の話。

会場は安田顕さんのファンと思わしき女性の方がたくさんいました。人気なんですね。

その演技を観終えてから、こりゃ人気だわ、と大いに合点がいきました。

殺陣のシーンかっこよかった。あんなバッサバッサと人が斬られていくの、大好きな健さんの任侠映画を観てるようで。でもすごく哀しくて。

キョンキョンは小さかった。みんな小さいっていうけどほんとだった。

実際に見るまでは、小泉今日子!バーン!という存在感を放ってるのかなと勝手に想像をしていたけど、まず作りたいものがあって、自分はその一部でしか無いんだと全体のバランスに応じて大きくなったり、小さくなったりできる人なんだという気がしました。

あ、徹子の部屋で言ってた、見かけによらず案外力持ちってエピソードもすごくよかった!テレビ持ち上げられるって言う話を徹子さんずっと覚えてるって。

 

その強さも、奥ゆかしさも、色気も、若さも、弱さも、ぜんぶが喧嘩せずあの小さいキョンキョンの中に集っていて。猫が居心地がよさそうに家に懐くみたいに。

 

話があちこちに行きますが、お芝居おもしろいなと思いました。今まで難しくてよく分からないという印象があったけど。

同時進行で二つの場面が展開していったり、という小説や映画では物理的に出来ないことができたり、受け手が見たいところを選べる自由さや、それが一度しかない儚さや。

 

カーテンコールは出てこいや感があまり好きじゃ無いけど、受ける側は嬉しいんかな。

そのあとみんながフルネームを言ってから感想を言う流れで「小泉です。」って言うところ、らしすぎて。なんかうれしかった。

最後どうまとめていいか分からず照れくさそうに「またねっ」て小走りに舞台袖へはけていくところも。

そこでやっと、そうだよ!これがキョンキョンだよ!!と思えた。

 

ほんとに、またの機会あるといいな。

次は小泉今日子という人を観に行くというより、新たな挑戦を見届けさせてもらう思いで。

 

帰りに、気になっていた元町高架下へ行ってみたり、ジュンク堂で迷った挙句、今まで読んでみたことのない戯曲集を買ってみた。わたしにとっての小さな挑戦。

 

あんなかっこいい先輩が先を歩いてくれてることへ、感謝と尊敬を込めて。