続・うさぎをめぐる冒険

もし一般で取れたら行こう、という運試しの結果、整理番号は4が3つ。4はしあわせの4。

今年はハロプロの現場に一度も入っていなかった。もしこの山口がなければ、'16を見ないまま'17を迎えていたと思う。

思い出を引きずったわたしみたいなのが行っていいのかなという思いはなかなか消えなかったけど、道重さんを好きな気持ちが再びここに連れてきてくれた意味を、何か見つけて帰れたらいいなと思った。

 

お盆真っ只中に新幹線に乗るのは初めてで、念には念をと早く着きすぎた新大阪駅のホーム。何本も新幹線を見送った。大きな荷物を抱え、記念写真を撮る家族やカップル。

さくらはとても良い車両だった。車内の電光掲示板には「スマートフォンでの位置情報を使用したゲームアプリのご使用はお控えください。」という文字や、リオオリンピックでの日本人選手の活躍を伝えるニュースが流れていく。

 

旅程は一晩で立てた。

まず、徳山駅からバスに乗って徳山動物園へ。

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道重さんの、モーニング娘。として最後の凱旋公演の日にも訪れた場所。

2年ぶりに再会したホッキョクグマは毛並みがところどころ緑色で、疲れたように見えて心配になった。後で調べると、ホッキョクグマの毛はストローのように空洞になっていて、夏は藻が繁殖して緑色になるそう。健康上は問題ないらしい。よかった。

「ゾウは足が4本あるねー」と写生をする子どもに話しかけるお母さん。水浴びするゾウ。時間の流れがゆったりとしていて、山口に来たなぁという実感がじわじわと湧いてくる。

 

そのすぐそばに、周南市文化会館

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散歩している親子の他は誰もいなかった。前ここへ来たのが、ついこの間のような、とおい昔のような。この駐車場で拾ったどんぐり、そういえばどこ行ったんやろう。なつかしくも、もう手の届かないところにある。

なぜ氷室さんもここで活動休止を発表したのかやっぱり分からないまま、信号を渡って次の目的地へ。

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周南市美術博物館。

NHK日曜美術館で、徳山出身の詩人まどみちおさんの遺した抽象画のことを知り、いつか実際に見てみたかった。

特別展は猫まみれ展ということで、入り口にこっそりと猫の置物が鎮座してた。粋な演出。f:id:iixviiiv:20160813121138j:image

2階に常設展として、まどさんのコーナーがあり、時間をかけてじっくり絵と対峙した。

グループ、くるみ、少女の顔、赤、池、ぞう、キリン。じーっと見つめていると、音が聞こえてくる気がした。グゴゴゴ...と地鳴りのような。動物園の石碑に書かれていた「ちきゅうのうた」は、このことなのかもしれない。

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バスで駅まで帰ろうと予定していたけど、バス停を探すのがめんどうになり歩くことに。凱旋公演の帰りにも歩いた道。あの日は雨上がりの曇り空だった。

しかし、暑い。途中、コンビニで即効元気ゼリーを買う。 肌がまさにジリリ キテルなぁと思いつつ。帰宅してから見たテレビでは、西日本が猛暑に見舞われたと山口の街頭が映されていた。

 

やっと駅に着いたのがお昼前。

第一ハロヲタを発見し、こんなとこで今日ほんまにあるんかな、という疑念が晴れた。あれが会場か。13時からの物販にはすでに列が出来ている。

静かな商店街に突如現れたカラフルな群衆に、地元の人たちが好奇の目を向けていた。先に体力をつけなければ。昼食をとりにネットで調べたお店へ。難なく着けた。

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モーニングといえばカレー。

一人でも入りやすく、野菜もおしいかった。

隣では、おば様たちがバリバリの山口弁で話に花を咲かせている。本や雑貨も扱っていて、近所にあるといいなと思うお店だった。

 

ひと休みしていざ出陣。

先ほどの物販列に並ぶ。道重さんに因んでうさぎを描いてくれたメンバーは数名いたけれど、道重さんそのものを描いてくれた飯窪さんの真摯さに心を打たれた。

軽い気持ちで並ぶと、そこから1時間かかった。列は4階まで続いていた。

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暑さに耐えられず、持ってきた道重さんのタオルを取り出す。この地でピンク色が全く無いのは、それはそれで寂しい気がした。


昨晩こっそりTシャツを着てみて、これはまた道重さんに会うときにしようと思った。思案した結果、シリコンバンド、タオル、ペンライトを荷物に入れた。使うかどうかは現地で決めよう、と。

蒸し暑い非常階段を少しずつ登り、無事に飯窪さんの日替わりを購入。ついでに'16のペンライトも。CHANCE!のを持ってきていたけど、これで12期も応援できる。

再び地上に戻るころには、入場の列が出来ていた。時間つぶせるところも無いし、いい具合の時間になって助かった。わたしの後ろにはあまり人がいなかったから、キャパは500ぐらいと思う。普段の数から考えると、ほんとにここに娘。が来るのか開演までなかなか信じられなかった。

ほどなく入場が始まり、また先ほどの階段を登る。ドリンクチケット代を払う。オレンジジュースとウーロン茶のみ。そりゃそうか。

既にドア間際まで人が押し寄せていて、とりあえず女限エリアを目指すもそれ以上進めず、いい感じの端っこを見つけそこに落ち着く。もともと端っこから見たいと思って来たから、ちょうどよかった。

会場は、まーどぅー始め、10期のファンがほとんどに見えた。赤色も緑色も無いのか、と改めて思う。ちらほらと道重Tが見える。

開演までペンライトの用意。新しいのはボタンが半円形2つに分かれていて、操作に慣れるまで焦った。迷ったけど、これだけ人いたら誰も気にしないかなと道重一筋のと、さゆうさのペンライト、新しいのと3本持つことにした。新しいのは、黄緑色にセット。'14の山口公演で「今日はピンク色ばかりだけど、いつか黄緑色に染めたい」ということを生田さんは話していたから、その心意気に一票を投じる思いで。

 

照明が落ちると共に会場中にペンライトが灯り、メンバーがステージへ。狭い。近い。メンバーもみんなも。

1曲目は新曲の「Tokyoという片隅

重低音がライブハウスに合ってる。現場で観て初めて良いなと思える曲があることを思い出す。

次に恋愛ハンター、恋レボと、馴染みのある曲が続き少しホッとする。女限エリアからはキャー!と悲鳴が起きている。

まりあちゃんが山口県に来られてとっても嬉しいと話し、あの方の話題にならないか期待をするも、最後まで触れられなかった。(夜公演では話してたらしい。)

 

One Two Three、愛の軍団、わ気愛J、この辺り好きなので楽しくなってきた。ふくちゃんのポニーテールや、飯窪さんのうさちゃんヘアーがスポットライトの中に揺れる光景に、道重さんを見出してしまう。さみしさというより、かつてそこにいたことが信じられない気持ちで、ピンクとうさぎと黄緑のペンライトを振る。

 

MC。どぅーちゃんがオリンピックの話。みなさん見てますか?「朝ホテルでなんかやってました。」と、はーちん。なんかって、と笑いが起きる。この流れでもファイターズ話をぶっ込んでくる、まりあちゃんのブレなさ。

 

その後まさかの「さくら満開

生田さんいないのでペンライトは濃いピンクに。(初めて娘。のツアーに参戦したとき、わたしが選んだのは実はこの色だった。)

歌い出しはもちろん小田ちゃん。亀井さんパートふくちゃん歌えるといいな。あゆみん、生田さん、まりあちゃんの腹筋美。「L、O、V、E、ラブリーさくら」と、ゆっくり少数のコールが起こる。そっか、そういう感じなんですよね、この曲!と古参の方々に畏敬の念。なかなか揃わずみんな失笑。口承により受け継がれる伝統。新しいものと古いものとが入り混じる。

 

再びまさかの「晴れ雨のちスキ」

続けてくるのか!?次への期待が高まる。まりあちゃんサビの高音、1番はうまく出せなかったけど、2番ではうまく歌えていた。これぞアイドル。1番の英語のパートを野中ちゃんが難なく歌うのを、そうかぁ母国語だから自然に歌えるのか、と思う。野中ちゃんを推す人の気持ちが少し分かった。儚さや、もどかしさが、さくら組の雰囲気に合っていた。お腹からしっかり声が出ていて、まだまだ潜在能力が覚醒してくる予感。

 

メンバーが交代し、予想通り乙女組。

最初は「愛の園」イントロで湧く会場。どこだったか生田さん、めっちゃクセの強い歌い回ししてて愛おしかった。ふくちゃん、小田ちゃん不在で誰が歌唱リードするのかなと考えていると、まーちゃんが居た。安定していてカッコいい。「うそだよ」を誰が言ったのか見逃したことに気づき、しまった...何のためにここにいるのか...と、曲終わりまでショックを引きずった。

 

さぁ誰が来る!?と固唾を飲んで観ていると「ひーとりー、のー日ーもーいーんだよー」とセンターに居るのは羽賀ちゃん。そっかー、そうやんなぁーと大いに合点がいく。これは彼女の他いない。オイオイオイ!めっちゃ楽しかった。ライブハウスで聴くの最高。ヘドバンする汗だくのどぅーちゃん。飯窪さんも、はーちんも、こういう感じが案外合うのかという発見もあり。生田さんは最後エアギターしてた。愛おしい。個人的にこの曲が今公演のベストだった。

 

抽選会。

羽賀ちゃんのプレゼントは今朝も使ったというハンドクリーム。ローズの香りらしい。

当選した方は名前と、カタカナと平仮名がどっちがいいかを尋ねられ、ステージ上のメンバーに伝える。もし呼ばれたら声届かんし名前どうしよう、と要らぬ心配。最後まで呼ばれなくて心底ホッとした。

 

まーちゃんが「字書ける?」と羽賀ちゃんに言うと、ひどーいと他のメンバー。慌てて弁解するまーちゃん。どうやらハンドクリームには書きにくいのではないかと心配してのことだった。パフォーマンスしてるときはプロという感じだったけど、話し出すとやっぱりまーちゃんで。こりゃファン多いわ。

野中ちゃんのプレゼントはこの間ヒューストン(←めっちゃ発音いい)で買った、スマホのペンやライトとしても使えるボールペン。何やらという長い英語の名前を流暢に言い、会場拍手。それマサが欲しいー。

まーちゃんからは、'14のときに持って行ったけど使わなかったビーチサンダル。去年ヒューストン、じゃなくてハワイに行った時にー、と記憶がとっ散らかってて逐一メンバーに正されてた。マサ、ホテルで誰かが履いたスリッパとか履きたくない人だからー。履けなかったら部屋にぶっ刺して飾ってください。

最初に引いたチケットの半券がちぎれていたらしく無効に。「最後の数字だけ読みますね」と読んでから、走って舞台袖にそれを置きに行くまーちゃん。「どうしてこんなとこ置くの」と飯窪さんが聞くと「この半券マサが持って帰るから!」と答えていて、こんな思いまで救済してくれるのか...なんていい子なんだろう...と心が洗われた。

やり直しで当たった方は「タ」で始まる名前で、書きはじめて早々、え?ちょっと待って!と慌てる飯窪さん。いきなり「ダ」と書いてしまったらしいまーちゃん。「字書けますか?」と、すかさず羽賀ちゃんの反撃。囲むように見守るメンバーから、おぉーと歓声。上手くカバーできた模様。

 

小田ちゃんからは、工藤さんのバースデーイベントの時につけていたリボン。何言ってたか忘れたけど、まーちゃんの小田いじりがあまり笑えなかった。当たった方が「ももこ」さんで「いい名前ですね〜!「ち」じゃなくていいですか?」とニヤニヤが止まらないふくちゃん。

抽選会に参加したくなったらしく「聖もチケット買ってたらよかったなー」とつぶやく姿に抜け切らないハロヲタ気質が表れていて、この人がリーダーでよかったと思った。

ふくちゃんからはハートの形の写真立て。時間が押してるのを察してか、ささっと素早く書き終える。

最後、飯窪さんからはゼルダ無双のクリアファイルと、用意してきたメッセージ付のカード。このマメさで差がつくんやろうなぁ。

羽賀ちゃんも抽選会に参加したかったらしく、あかねって書いた紙入れて、当たったら「あ、か、ねー!」って呼んでほしいと、なかなかブッ飛んだ発言をしていて、のびのび出来てるんやなぁと微笑ましかった。まーちゃんは野中ちゃんのペンがよっぽど欲しかったらしく、抽選会が終わってからもあのペン欲しかったと言ってた。

 

パフォーマンスに戻り「スカッとMy Heart

これは鞘師里保ちゃんの曲という印象が強い。平日のセルシー、会社帰りにダッシュして見に行ったなぁ。'15以降で個人的に一番好きな曲。

次に「泡沫サタデーナイト」。「ウータカッター」っていうコール、はじめみんな何て言ってるか分からなくて先住民の儀式みたいなヤツかと思った。かのんちゃん居ない。

道重さんのいない曲が続いたことで、だんだんと今のモーニング娘。を素直に楽しめている自分に気づく。

そうか、こうして変わっていくこと、続いていくことがこのグループの本来だった。11人の歌い踊る光景が、エンドロールのように見えた。自分の中で何かが終わろうとしているのか。

 

その勢いのまま「みかん」

この辺りもう勝手に感極まって涙ぐんでしまって。

 

WiL。ひさしぶりにワッドゥーユーウォン言えて楽しかった。

 

アンコール、アンコール、って一生懸命言うの、アイドルの現場以外ではあまり見られないと思う。オタクはやさしい。

 

The Vision。この曲はトキソラと同じ線上にある気がする。きれいで、立ち尽くして観た。

あゆみん、ほんとに踊ることが好きなんだなということが伝わってくる。美しい間奏。つんくさん、また曲書いてくれますように。

メンバーひとりずつ挨拶をはさんで、最後はLOVEマシーン。 

 

変わっていくこと、変わらないこと。

ここにいない人たちを思い浮かべた。見たことのない、モーニング娘。でない道重さん、りほりほ、かのんちゃん。たくさんの出会いと別れ。変わっていけることって、すばらしいのかもしれない。

 

わたしのいた端っこの裏が握手会の入り口だったらしく、早く出られた。新幹線の時間が迫っているから先に行かせてほしいと言う方に快く先を譲るも、一番目は緊張するからあなたお願いします!と半ば強引に鍵開けを託された方が力強く頷くのをみんな笑って見てたり、初めてのナルチカは予想していたよりも和やかな現場だった。

 

握手はひとりずつに、ありがとう、楽しかったということを伝えつつ、目を合わされると自分がうすっぺらい人間だということを見透かされているような気がしてきて早く終えたかった。小田ちゃんの手が冷たかった。

 

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徳山の駅は新しくなっていて、初めて来たような感覚。
新幹線に乗るまで少し時間があるので、海まで歩いてみた。

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すごくひとりだった。

もうここに来ることは二度とないかもしれない。

でも、それでいい。

変わっていける、わたしも。

それはきっとすばらしいことなんだ。